ステップ・・重松清さんが描く父子家庭
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    評価:
    重松 清
    中央公論新社
    ¥ 1,680
    (2009-03)

    重松清さんが描く親子の愛情、葛藤、成長する姿。父子家庭の物語が切なすぎて、ひしひしと胸に迫ってくる。

    ファザーリング・ジャパンの仲間でシングルファーザーがおり、話しを聞いたことはあった。けど、ぼくは何も理解できていなかったと分かった。いつなんどき、自分ごとになるかは分からない。決して他人事の物語ではない。

    もっと今以上に、家族との時間と思い出を大事にしよー。「イクメン」なんて言われるけれど、育児は本来カッコイイものでもなく、ファッションで行うものではなく、日々地道に井となわれるもの。「家族サービス」といった特別なイベントではなく、日常そのもの。普通に、一所懸命に、目の前の人や一緒に過ごす時間を大事。

    小説で、物語で伝わってくるからこそ、素直にそう思えた。

    「一所懸命にかわいがってさ、さっきの親もそうだけど、一所懸命に子どもを守って、一所懸命に子どもを幸せにしようとしている」「でも、幸せっていうのは、そういうものじゃ・・」「ないよな」でしょ、と不服そうにうなづく礼香さんに、つづけて「だから一所懸命に間違えちゃうんだ」と言った。「よけいなことをしなくていいのに、しちゃうから、間違えるんだ」

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    「そういう例って、なかったんですよ。お父さんのいない子どもって学年に一人二人はいるんですけど、お母さんがいないのは、わたしが担任した中では美紀ちゃんが初めてでしたし、今年の一年生でも美紀ちゃんだけなんです。ですから、わたしとしても初めてのケースで、ちょっと対応に困ってて」例。ケース。対応。ふだんなら聞き流せる言葉が、微妙に耳にひっかかってしまう。

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    「保育園のほうが優しいんです。融通が利くっていうか、親の都合を優先してくれるんで」「送り迎えしなきゃいけないだろ」「でも、そのぶん長い時間預かってくれますから。土曜だって預かってくれるし、夏休みや冬休みもないし」(中略)どこの学校でも学童クラブの待機児童がいて、そうでないクラブは予算を削られて次々に閉鎖に追い込まれていることなど、部長にとっては遠いアフリカの国の飢餓問題と同じ距離でしかないのだろう。

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    俺にはできなかったんだ、と義父は嗚咽交じりに言った。仕事仕事で、朋子のことも良彦のこともほとんど覚えていない、それが悔しいんだ、とうめいた。「子どもの思い出すら残せない人生なんて・・おい、むなしいもんだぞ、まったく・・」

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    人生なんだなあ、と思うのだ。ふだんはそんなことは意識しない。目の前の今日を、あたふたしながら生きているだけだ。だが、最近ときどき・・美紀を見ていると、長い年月が流れたんだな、と思う。僕の人生の何分の一かは、美紀と二人きりの暮らしだった。数え切れないほどの今日を昨日に変えていって、いま、僕たちはここにいる。誰かに勝つとか負けるとかではなく、それは、ただ素直にすごいことじゃないか、とも思うのだ。 

    | 05:20 | comments(1) | trackbacks(0) |
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    Comment
    うちには6歳の息子がいるもので、いつも参考にさせていただています。重松清さんの本が紹介されていたので、つい。重松清さん絶賛!というコピーが帯に印刷された本が書店にあり手に取ったら、まさに父として最高の本でした。小学館文庫の「0マイル」という本です。父親と幼い息子の2人旅がすごくリアルに描かれていました。感涙! 最後に載っている重松さんの解説がまた、いいんです。目に留まりましたら、ぜひ。
    Posted by: 清志 |at: 2011/02/04 5:43 PM









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